網羅的には述べませんが、個人的な立場から、とりあえず気づきの点だけ述べます。

⚫個人的に評価をしている点
1.脱炭素化とデジタル化
国家方針として、「次の成長の原動力」という点で、「脱炭素化」と「デジタル化社会」の実現を強調しましたが、これは前臨時国会でも強調していますので、具体化がなされてきています。
(ただし、マイナンバーについては、運転免許証や保険証との統合を含め個人の様々な情報統合を目指している点、プライバシー保護の観点から慎重検討が必要です)
2.各論
菅総理演説の特徴として各論や細かい論点が強調されますが、その中で主だったものとして、私としては、最低賃金の継続的引き上げ、不妊治療の保険適用、携帯料金やNHK受信料の引き下げ、農産物の輸出強化、国土の不適切な所有・利用を防ぐ新法策定、災害対策強化、科学技術研究費拡大、中小企業支援拡大、国際金融センター設立構想、ポストコロナにおける観光力強化、大都市人口集中是正、育児休暇拡大、薬価引き下げなどは良い方策だと思っています。
⚫個人として問題視している点
1.コロナ対策の失態
昨年10月の前臨時国会では、コロナ禍に対して、「爆発的な感染は絶対に防ぎ、国民の命と健康を守り抜きます。その上で、社会経済活動を再開して、経済を回復してまいります」という方針でした。
これが大きな判断ミスで、政策の売り物としていた「GO TO」が爆発的な感染者増を引き起こしたという失態については、今回の施政方針演説で一言も触れていません。
さらに、政府の第3次補正予算にも「GO TO」が1兆円も計上されているのは、全く反省が無いのでしょう、それとも、特定政治家に配慮しているのか、、、、。
なお、ついでに、政府の第三次補正予算案について付言すれば、トータル19.2兆円の内、コロナの直接対策費は,わずか4,3兆円(22%)でしかなく、それ以外は、「GO TO」で1兆円、ポスト・コロナのデジタル化や脱炭素化の対策費が2.8兆円、国土強靭化・防災費・防衛費が3,1兆円もついています。
「さすがにこれはおかしい!」と考え、立憲民主党では、補正予算組み替え動議を出し、補正に含むべきでない不適切予算を6,1兆円撤回させ、コロナ集中対策予算を17,1兆円を追加させることとしました。
2.「長年の課題に、この4ヶ月間で答えを出してきた」と言うが、、、
❶今回の演説では、「未来への希望を切り拓くため、長年の課題について、この4か月間で答えを出してきました」と指摘している点については、思わず「どこにその答えが書いてあるのか?」と疑問を投げかけざるを得ません。
❷拉致問題や対露・日中・日韓外交を含め外交については、前回演説同様、官僚作文の繰り返しで、「こうあったら良いなあ!」という希望表明の羅列でしかありません。「具体的突破口を切り拓いていこう!」という意欲をまったく感じません。
❸沖縄については、前回演説同様、「沖縄の皆さんの心に寄り添い、、、、、、辺野古沖の移設工事を進めます」というフレーズを繰り返しています。そろそろバイデン米新政権に対し、辺野古基地移転を撤回させる方針を伝えていく時期にきているのではないでしょうか。
❹今年夏の東京オリンピック・パラリンピックについては、前回演説が「人類がコロナ・ウィルスに打ち勝った証として、、、、今後も全力で取り組みます」というハイ・トーンから、今回演説では、「、、、準備を進めてまいります」と低調なトーンに変わっています。
一部の欧州マスコミに「非公式には『中止との判断をしている』という報道も出ましたが、現実的な想定のもとで開催の是非を明らかにするデッドラインが迫ってきています。決断の時期が遅れる場合、財政問題を含め当然あとで様々な責任を問われることになるでしょう。
❺前回演説同様、脱炭素化の一環という位置付けをしながら、原子力政策を推進することは筋違いだと考えています。